Eau‐de‐Vie

オー・ド・ヴィー/いのちの水 (2003年個展)

海の山の湖の川の砂漠の雪の雨の水。

天気予報によると、3000年になる頃には地球の温暖化が進んで、モンブランの雪も解けてしまうらしい。

いのちの水。いのちの水。

 

エヴィアンの水、ヴィッテルの水、ボルヴックの水、六甲の水、水道の水。

身体に入れる水。かさかさの身体に必要な水。からからのいのちに必要な水。

いろんな水をいろんな身体に入れて、できあがるいろんな生きもの。

地球の星のあちらこちらで産まれてきて、闘っている一つずつのいのち。

 

ファニアちゃんの水、ロミナちゃんの水、まりみつえの水。

みんな一つずつ持っている水の入ったガラス瓶。必ずその子のガラスの瓶にはその子の水が入っている。

それがきれいに並んでいて気持ちがいい。

一つずつのいのちが、喉が乾いて水をごくごく飲む。自分の水はいくらでも湧いてくる。

自分の水だからいくらだって飲める。

時には飲み比べてみる。わたしのより甘い。わたしのよりやわらかい。

あの子のは良い香り、でも苦いのはなぜ?・・・・・わたしのが一番おいしいのかな。

 

山の水は流れていって川になって、流れていって、海の水になって、

雪だって雨だって、みんな地球にゆっくりと染み込んでいく。

 

彼女たちのガラス瓶に入った水は、一生かけて熟成されてEau‐de‐Vieになる。

3000年になる頃には、誰のEau‐de‐Vieもおいしくておいしくて、

地球にゆっくり染み込んだいのちの水を、グラスにそそいで乾杯する。

そんな気持ち。。。

 

※ フランス語 「Eau-de vie /オー・ド・ヴィー」

ブランデーなど蒸留酒の総称。直訳すると、いのちの水。